介護老人保健施設での生活はどんな感じ?リハビリ職員が解説。

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この記事の筆者
ゆめ先生

主に介護分野で働く作業療法士(リハビリの国家資格)。
修士(医学)。大学院博士課程(リハビリテーション学)在学中。
健康全般にとにかく興味あり、分子栄養学の資格取得。
みんなに元気に生きてほしい。

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施設勤務15年ほどの作業療法士です。

この記事では、介護老人保健施設で高齢者が実際にどんな生活を送られているのかをリハビリ職員の目線から具体的に記まとめました。施設生活がどんな感じなのか、イメージがつかんでいただければと思います。

介護老人保健施設での生活はどんな感じ

高齢者施設はどんな種類がある?

公的施設

・特別養護老人ホーム

・介護老人保健施設

・ケアハウス

・介護医療院 など

民間企業が運営する施設

・有料老人ホーム

・サービス付き高齢者住宅

・グループホーム など

介護老人保健施設ってどんな施設?

今回、詳しくご紹介する介護老人保健施設は、介護保険制度を利用した公的施設で主に医療法人や社会福祉法人が運営しています。施設の位置づけとしては在宅復帰のためにリハビリをする施設です。

例えば、自宅で転倒して骨折した場合に、入院して手術をしたけど、自宅で生活するにはまだ不安があるといった場合や、自宅で急に状態が悪くなってきたという場合に介護老人保健施設に入所して、リハビリを行い、機能回復を図り、自宅に帰ることを目指す施設です。

介護老人保健施設の分類

施設の在宅復帰率(どれくらいの割合の入所者が自宅に復帰したか)や、人員体制の手厚さなどによって、下記のように分類されます。                            ※記載順に在宅復帰に向けて手厚いケアを提供していると判断できます。

・超強化型

・強化型

・加算型

・基本型

・その他

費用は?

入居時の費用は必要なく、月々の費用は、施設の加算状況や、部屋、介護度などによって変わりますが、概ね8万~15万程度です。

入所期間は?

3か月程度が目安とされていますが、継続入所の必要があれば3か月ごとの入所継続の判定を経て、継続して入所することが可能です。実際に、3か月目以降も継続して入所されている方が多数です。

介護老人保健施設での生活スケジュール

介護老人保健施設での生活スケジュールは、施設によって異なる部分もありますが、だいたいはこんな感じです。

入浴は週2回リハビリは特別な加算を算定する場合以外は、基本的には週2回実施します。

一日のスケジュール
6:00起床
7:00バイタル測定
8:00朝食
9:00入浴・リハビリ(週2回)
10:00
11:00
12:00昼食
13:00
14:00レクリエーション
15:00おやつ
16:00
17:00夕食
18:00臥床

医療面

医師、看護師が配置されているので、医療面は割と安心です。毎日のバイタル測定と体調確認があります。夜間も看護師が常駐していますし、医師も夜間はオンコールでいつでも連絡可能な状態です。

お薬も施設で手配してもらえますし、簡単な処置などは施設で受けられます。急な状態の変化があれば医師の判断のもと病院へ緊急搬送して入院となるケースもあります。

リハビリ

理学療法士作業療法士言語聴覚士のいずれかは在籍していて、個別や集団でのリハビリを受けることができます。入所されたら、まず、リハビリの専門職が身体機能や認知機能などを評価して、個々に応じたリハビリの計画を立ててリハビリを実施していきます。

ただ、病院のように毎日リハビリをしたり、1時間みっちりリハビリをするというような感じではありません。個別でのリハビリは20分程度です。

集中してたくさんリハビリを実施して、早く自宅に帰りたいという場合などは、施設によっては週3回以上のリハビリを受けることも可能です。上記の介護老人保健施設の分類にある、超強化型や強化型の施設を選ばれる方がいいと思います。入所の際に、確認しておきましょう。

個別リハビリの例

 ・関節を動かす訓練や筋力訓練

 ・歩行練習

 ・起居動作や移乗動作、トイレ動作などの練習

 ・口腔機能訓練

 ・認知機能訓練

 ・作業活動 など

集団リハビリの例

 ・集団体操

 ・認知機能訓練

 ・アクティビティ など

通所リハビリ(デイケア)

介護老人保健施設には、通所リハビリ(デイケア)を行っている施設もあります。

利用時間やサービス内容はさまざまです。

例えば、1~2時間の利用でリハビリだけ行う短時間型や、リハビリ、入浴、食事、おやつやレクリエーションを含む一日型などニーズに合わせて選択しましょう。

入浴

入浴は、基本的に数名ずつ一緒に入る施設が多いですが、個別で入れるお風呂のある施設もあります。概ね、週2回入浴があります。

入浴についてのご意見としてよく耳にするのは、女性利用者で男性の介助は嫌、他の人と一緒は嫌、夕方に入りたい、もっとゆっくり入りたいなどです。

介護が必要な状態であれば、施設設備によっては、機械浴(機械を使って湯舟に浸かったり、体を洗えたりする)があったり、シャワーキャリー(浴室で使用する車いすみたいなもの)でそのまま浴槽に入れることもあります。

このような設備がない場合には、シャワーだけになってしまったり、シャワーと足湯になったりします。

施設生活の中で、お風呂を楽しみにされる方も多いので、重視したい点がある場合にはそこも入所前に確認しておくといいと思います。

食事

食事メニューは、管理栄養士が管理しています。必要カロリーや疾患に応じた食事やおやつが提供されます。

噛む力や飲みこみに問題があれば、食事の形態も一口サイズに切ったもの、刻んだもの、ミキサーにかけたもの、ごはんも普通のごはんやおかゆなどを提供します。

自分で食べることができない方は職員がお手伝いをして食べていただきます。

疾患に問題がなければ、ご家族からの差し入れのおやつ(生ものなどを除く)を食べることも可能です。施設の食事があまり進まない方などはご家族が好きなパンなどを持参されることもあります。

ただ、食事の質は施設によって本当にまちまちなので、食べることが好きな方は特に施設を選ぶ際のポイントになるかもしれません。

また、食事が摂取できない場合、経管栄養や胃ろうからの栄養の注入を行える施設もあります。

排泄

排泄は、必要があれば職員が動作のお手伝いします。例えば、体が麻痺して自分でズボンやパンツが上げ下げできないとか、認知症で排泄の管理が難しいなどです。

基本的には居室にトイレがありますので、そこを使用しますが、夜間などは、ポータブルトイレ(ベッドの横に置くことができる簡易トイレ)を使用することもできます

トイレに行くことが難しい身体状況の方は、おむつ交換や清拭、陰部洗浄などを行います。

健康管理として、排泄回数などもチェックしますので、便秘の場合などは排便コントロールも行います。

トイレの失敗がある場合のオムツやパッドなどは施設で準備され、その方に適したものを使っていきます。

余暇時間

入浴やリハビリがない日も多いので、余暇時間はたっぷりあります。TVは共有スペースに設置あり。個人で持ち込みも可能。基本的には全員の居室にテレビがあるわけではありません。

新聞を取って読む方や、本を読んだり、脳トレをしたり、運動をしたり、眠ったり、おしゃべりをしたり、思い思いに過ごされています。

外出は、コロナ渦ではほぼなし。通常でもイベント時や家族との外出をされる方がまれにいらっしゃるのみという感じです。

レクリエーションは施設によって頻度や内容はさまざまで、参加は自由です。

準備する物品や洗濯

準備する物品は施設によるのですが、たいてい身の回りの物だけです。

ベッドや床頭台、お布団やマットレス、車いすや歩行器などはお部屋に設置されている施設備品を使用します。

洋服やタオルも、施設衣やタオルのレンタルが利用できる施設もあります。

また、自分の衣服やタオルでもご家族にお洗濯をしていただく施設と、クリーニングに出せる施設などがあります。

この点は、レンタルやクリーニングの費用を含めご家族の負担になる点だと思うので入所時の確認が必要です。

面会

基本的に面会は可能ですが、コロナ対策は各施設の方針によりますので確認が必要です。例えば、検査や検温をして短時間の面会は可能とか、リモート面会、ガラス越しの面会など。

まとめ

以上、介護老人保健施設での高齢者の生活の実際です。

リハビリの仕事をしている私としては、施設入居を考えておられる方でリハビリをしっかり受けたい方には、介護老人保健施設はおススメです。

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